二十四節気は季節を表す美しい言葉:繁体字表記とその意味

《二十四節氣是表達季節的美麗詞:繁體字及其含義》

二十四節気 [Èr shí sì jié qì] (にじゅうしせっき) は日本にも伝わる暦の一つです。
古代中国・秦の時代以前に確立したもので、太陽の動きを基準に1年を24等分して季節を区別します。

二十四節気は季節を表す美しい言葉繁体字表記とその意味

暦と季節

「旧暦(農暦)と新暦(西暦)には約1ヶ月のずれがあります。 月の満ち欠けを基準とする農暦と、太陽の位置を基準とする西暦で日数に差があるためです。

農暦は新月を月初めとします。そして354日で12ヶ月に達します。一方で地球は365日掛けて太陽を周回するので、354日で1年とすると季節がどんどんずれてしまいます。そこで、閏月という方法を時々用いて1年を13ヶ月にすることで季節のずれを修正します。

二十四節気と西暦はどちらも太陽暦なので暦と季節が完全一致しても良さそうですが、実際には太陽の位置と地表の温度変化には時間差があります。
夏至が近づいて太陽光を受ける時間が長くなっても、平均気温が年間最高点に達するまでには時間が掛かります。冷蔵庫から取り出したジュースが段々と温くなっていくイメージです。
そのため気象学では平均気温を基準として3月から春と定義しています。


旧暦月
(農暦)
正、二,三四、五,六七、八,九十、十一,十二
新暦月
(西暦)
2,3,45,6,78,9,1011,12,1
気象学定義3,4,56,7,89,10,1112,1,2
西暦の七夕
七夕は本来、天候の安定した秋の行事でした。しかし日本で西暦を採用した際に七夕の日付が農暦七月七日から西暦7月7日へ移行されました。それは季節を無視して日付の数字だけを合わせたので、結果として大気が不安定な梅雨の時期と重なり綺麗な星空が見えにくい季節に行われる事になりました。そればかりでなく星の位置も秋と夏では異なるので、西暦の七夕というのは昔の人々が思いを馳せていた星空とは別の景色になっています。
中国の中原河南省黄河中下流域

Imagery: ©2023 TerraMetrics, Maps data: ©2023 Google View on Google Maps

二十四節気発祥地である中国の中原 (河南省、黄河中下流域、北緯34°50′付近) と比べると、日本列島は南北に長いので緯度に幅があります。よって季節が異なる地域の方が多くなります。それでも「暦の上では」という表現が現代でも使われ続けているのは、二十四節気というものが四季の移ろいを端的に説明した美しい暦であるからだと考えられます。

ちなみに台湾台北市は北緯25°02′であるにも関わらず、立春を過ぎればどんどん暖かくなって来たり、立冬を過ぎてようやく上着が必要になるなど、二十四節気と季節感が大凡一致しているように感じられます。

繁体字で見る二十四節気

春季

2月

立春繁体字

[Lì chūn]
立春 (りっしゅん)

第1番目の節気です。毎年2月4日頃、太陽が黄経315°に到達する時を指します。「立」は開始を意味するので、「立春」は春の始まりという意味です。この日から立夏を迎えるまでが暦の上での春です。

  • 農暦では春節とも呼ばれ、一年の始まりになります。
雨水繁体字

[Yǔ shuǐ]
雨水 (うすい)

第2番目の節気です。毎年2月19日頃、太陽が黄経300°に到達する時を指します。天候が不安定で降雨量が増加する時期で「雨水」は雨が多いという意味です。

3月

啓蟄繁体字

[Jīng zhé]
啓蟄 (けいちつ)

第3番目の節気です。毎年3月6日頃、太陽が黄経345°に到達する時を指します。暖かくなり春の雷が鳴る時期です。「啓」は開く、「蟄」は冬眠を意味するので、「啓蟄」は土壌の中で冬眠していた虫や動物が活動を始めるという意味です。

中国でも漢代以前は啓蟄と表記していました。しかし、前漢第6代皇帝の諱 [いみな] (本名) と被る為、同音の驚という字が当てられました。その後も慣習的に当て字が使用されています。日本では渋川春海による貞享の改暦 (1685) の際に本来の字へ戻されました。

春分繁体字

[Chūn fēn]
春分 (しゅんぶん)

第4番目の節気です。毎年3月20日頃、太陽が黄経0°に到達する時を指します。昼夜の長さがほぼ等しくなる日で、「春分」は春の時期の昼と夜の長さが入れ替わる分岐点という意味です。

  • 日本は祝日になりますが、台湾は平日です。

4月

清明繁体字

[Qīng míng]
清明 (せいめい)

第5番目の節気です。毎年4月5日頃、太陽が黄経15°に到達する時を指します。全ての物が成長する時期で、「清明」はそれらが清く明るいという意味です。

  • 台湾では清明に先祖の墓参りをする習慣があります。日本でも沖縄など一部の地域で行われます。
穀雨繁体字

[Gǔ yǔ]
穀雨 (こくう)

第6番目、春最後の節気です。毎年4月20日頃、太陽が黄経30°に到達する時を指します。温暖な気温と十分な降雨量で、「穀雨」は穀物の成長に役立つ雨という意味です。

夏季

5月

立夏繁体字

[Lì xià]
立夏 (りっか)

第7番目の節気です。毎年5月5日頃、太陽が黄経45°に到達する時を指します。「立」は開始を意味するので、「立夏」は夏の始まりという意味です。この日から立秋を迎えるまでが暦の上での夏です。

小満繁体字

[Xiǎo mǎn]
小満 (しょうまん)

第8番目の節気です。毎年5月21日頃、太陽が黄経60°に到達する時を指します。夏になり作物が実り始めて、「小満」は少し満たされるという意味です。

6月

芒種繁体字

[Máng zhòng]
芒種 (ぼうしゅ)

第9番目の節気です。毎年6月6日頃、太陽が黄経75°に到達する時を指します。雨季になり湿度も高くなる時期で、「芒種」は芒 (のぎ) を持つ植物の種を蒔く時という意味です。

夏至繁体字

[Xià zhì]
夏至 (げし)

第10番目の節気です。毎年6月21日頃、太陽が黄経90°に到達する時を指します。高い気温と高い湿度で雷雨も多い時期です。 昼の長さが一年で一番長くなる日で、「夏至」は夏の中間に達したという意味です。

7月

小暑繁体字

[Xiǎo shǔ]
小暑 (しょうしょ)

第11番目の節気です。毎年7月7日頃、太陽が黄経105°に到達する時を指します。日照時間が増えた事で気温が上昇する時期で、「小暑」は暑さの始まりという意味です。

大暑繁体字

[Dà shǔ]
大暑 (たいしょ)

第12番目、夏最後の節気です。毎年7月23日頃、太陽が黄経120°に到達する時を指します。雨季が明け本格的な暑さが続く時期で、「大暑」はとにかく暑いという意味です。

秋季

8月

立秋繁体字

[Lì qiū]
立秋 (りっしゅう)

第13番目の節気です。毎年8月7日頃、太陽が黄経135°に到達する時を指します。「立」は開始を意味します。なので「立秋」は秋の始まりという意味です。この日から立冬を迎えるまでが暦の上での秋です。

処暑繁体字

[Chù shǔ]
処暑 (しょしょ)

第14番目の節気です。毎年8月23日頃、太陽が黄経150°に到達する時を指します。暑気が後退する時期です。「處」は停止を意味するので、「處暑」は暑さが退くという意味です。

9月

白露繁体字

[Bái lù]
白露 (はくろ)

第15番目の節気です。毎年9月8日頃、太陽が黄経165°に到達する時を指します。朝晩涼しさを感じ始める時期です。五行説において秋は金に属します。金色は白とも表現されるので、「白露」は秋の露という意味です。

秋分繁体字

[Qiū fēn]
秋分 (しゅうぶん)

第16番目の節気です。毎年9月23日頃、太陽が黄経180°に到達する時を指します。昼夜の長さがほぼ等しくなる日で、「秋分」は秋の時期の昼と夜の長さが入れ替わる分岐点という意味です。

  • 日本は祝日になりますが、台湾は平日です。

10月

寒露繁体字

[Hán lù]
寒露 (かんろ)

第17番目の節気です。毎年10月8日頃、太陽が黄経195°に到達する時を指します。寒気が南下し昼夜の気温差が大きくなる時期で、「寒露」は寒さによる結露の意味です。

霜降繁体字

[Shuāng jiàng]
霜降 (そうこう)

第18番目、秋最後の節気です。毎年10月23日頃、太陽が黄経210°に到達する時を指します。空気が冷え秋深まる時期で、「霜降」は冷気が降りてくるという意味です。

冬季

11月

立冬繁体字

[Lì dōng]
立冬 (りっとう)

第19番目の節気です。毎年11月7日頃、太陽が黄経225°に到達する時を指します。「立」は開始を意味するので、「立冬」は冬の始まりという意味です。この日から立春を迎えるまでが暦の上での冬です。

小雪繁体字

[Xiǎo xuě]
小雪 (しょうせつ)

第20番目の節気です。毎年11月22日頃、太陽が黄経240°に到達する時を指します。寒さと降水量が増す時期で、「小雪」は雪が降り始めるという意味です。

12月

大雪繁体字

[Dà xuě]
大雪 (たいせつ)

第21番目の節気です。毎年12月7日頃、太陽が黄経255°に到達する時を指します。気温の低下が顕著で降水量も増える時期で、「大雪」は雪がたくさん降るという意味です。

冬至繁体字

[Dōng zhì]
冬至 (とうじ)

第22番目の節気です。毎年12月22日頃、太陽が黄経270°に到達する時を指します。昼の長さが一年で一番短くなる日で、冬の中間に達したという意味です。

1月

小寒繁体字

[Xiǎo hán]
小寒 (しょうかん)

第23番目の節気です。毎年1月5日頃、太陽が黄経285°に到達する時を指します。日照時間が短い事で気温の低下が著しい時期で、「小寒」は本格的な寒さの始まりという意味です。

大寒繁体字

[Dà hán]
大寒 (だいかん)

第24番目、冬最後の節気です。毎年1月20日頃、太陽が黄経300°に到達する時を指します。気温が低く積もった雪が溶けない時期で、「大寒」はとにかく寒いという意味です。