台湾に伝わるホテルのタブー:台湾人が入室前にドアをノックする理由

《台灣飯店禁忌:為何進門前總要先敲門》

飯店禁忌 [Fàn diàn jìn jì] とは、台湾に伝わるホテルでやってはいけないことです。
神や先祖への祈りが日常の一部になっている台湾では、この世以外の存在も身近に感じる人が少なくないのかもしれません。

台湾に伝わるホテルのタブー入室前にドアをノックする理由

入室前の注意

1:一番奥の部屋に泊まらない

ホテルの廊下イメージ

廊下の一番奥の部屋は 尾房 [Wěi fáng] と呼ばれ、そこに当たった場合は部屋を変えるべきと言われています。
なぜなら一番遠い部屋は、エレベーターから近い部屋に比べて、使用頻度が低いと考えられるからです。
使用頻度が低いというのは人気がないとも言い換えられ、陽の気が不足しています。

2:いきなり部屋に入らない

ホテル客室のドアイメージ

ホテルに着いて初めて部屋に入る時はドアを3回ノックします。
何も応答がないのを確認して鍵を開け、ドアを暫く開放してから入室します。
また入室後は直ぐに鍵を掛けません。可能であればドアに隙間を作っておきます。

福祿

何でそんなことするの

摩沙

誰かいるかも

台湾には好兄弟 [Hǎo xiōng dì]と呼ばれる存在があります。
それは身寄りのないまま天に召された方々を意味します。
そして空いている部屋に住み着きやすいと言われています。

台湾人がホテルの部屋へ入室前に必ずドアをノックする理由はこの為です。

入室後の注意

3:暗いままにしない

暗いホテル客室イメージ

入室したらすぐに全ての照明を付けます。
ホテルの照明は薄暗いものが多いですが、少しでも明るくすることで陽の気が高まります。
また明かりを灯すことで部屋を使用しているのが周囲に伝わります。

4:トイレを直ぐに使わない

ホテル客室のトイレイメージ

部屋のトイレを初めて使用する前は、必ず一度流します。
溜まっていた水を捨て、綺麗な水に入れ替えます。

5:窓を締め切らない

ホテル客室の窓イメージ

新鮮な空気や明るい光は、室内に陽の気を満たします。
部屋は風通しが良くなくてはなりません。
窓が無い部屋は論外です。

6:ベットを綺麗なまま放置しない

ホテル客室のベッドイメージ

綺麗に整えてられてあるベッドメイキングを崩し、枕は持ち上げて叩きます。
ツインルームに1人で泊る時などは、使わない方のベッドも同様にします。

福祿

これをしないとどうなるの

摩沙

何かあるかも

7:クローゼットに物を掛けない

ホテル客室のクローゼットイメージ

目が届かない場所に掛けた服は失われる可能性があります。
服を掛ける場合は、見えるようにしておくと良いです。

8:備え付けの物を使わない

ホテル客室の浴室イメージ

ホテルの部屋には色々な備品や調度品がありますが、使用しない方が良いと言われる物もあります。
・備え付けのスリッパ
・備え付けのコップ
・バスタブ
などがそうです。

福祿

これも怖いやつかな

摩沙

信じるか信じないか

9:ノックが聞こえても気軽に出ない

ホテル客室のドアイメージ

ノックに限らず突然ドアのチャイムが鳴らされるかもしれません。
そんな時に全く警戒せずドアを開けてしまうのは浅はかな行動です。
扉の向こうは外と同じと思っておくべきです。

10:脱いだ靴は揃えておかない

脱いだ靴イメージ

脱いだ靴を履きやすい状態にしておいてはいけません。
片方ずつ向きを変えておくか、一足を裏返しにしておくべきと言われています。

11:異変があったら放置しない

開かれた聖書イメージ

・変な匂いがする。
・ベッドが振動する。
・照明が点いたり消えたりする。
・開いた状態の聖書がある。
これらの現象は何らかのメッセージなので、可能なら部屋を変えた方が安心です。

12:真っ暗にして寝ない

暗いホテル客室イメージ

最低でも一箇所の電気は付けたままにして就寝します。
真っ暗な状態は誰もいない部屋に近づいてしまいます。

福祿

読まなきゃよかったな

摩沙

もう忘れられない

総括

明るいホテル客室イメージ
「ホテルでやってはいけないこと」は、オカルト的な視点で伝えられる事が多いですが、見方を変えれば不特定多数の利用者がいる宿泊施設での注意事項が述べられているに過ぎません。
【1:一番奥の部屋に泊まらない】 使用頻度が低い部屋は最後に清掃されてから長い時間が経過している可能性があるので、衛生的観点から避けた方が無難であると考えられます。
【2:いきなり部屋に入らない】 入室前のノックは、カードキーで入室管理をしていなかった時代の名残と思われます。フロントのミスで間違った鍵を渡される事が多発していたのかもしれません。現在でも他の利用者や客室係など誰かがいる可能性は無きにしもあらずで、通された部屋に誰もいるはずがないというのは単なる思い込みに過ぎません。
【3:暗いままにしない】【4:トイレを直ぐに使わない】 入室後の照明点灯や、トイレを流してみるのは設備を確認する為です。他にもシャワーのお湯が出るかどうかも早い段階で確認すべき項目の一つです。
【5:窓を締め切らない】 窓を開けておくのは空気の入れ替えや湿度を調整するのに有効なだけでなく、避難経路を確保するという意味もあります。
【6:ベットを綺麗なままにしない】 ベットメイキングを崩したり、枕をどかしてみるのは清掃状態や忘れ物の確認です。
【7:クローゼットに物を掛けない】 置き忘れを防止する為です。クローゼットや冷蔵庫の中など、見えなくなる場所は退室時に忘れがちです。
【8:備え付けの物は使わない】 消毒済みのラベルをどこまで信用してよいものか不明です。中国や韓国のホテルで清掃員がトイレを掃除したスポンジでコップを洗う様子が暴露された事件もあります。
【9:ノックが聞こえても気軽に出ない】 知り合いや従業員が来たと思い込んで気軽にドアを開けるべきではありません。部屋を間違える他の利用者も結構います。
【11:異変があったら放置しない】 異変をホテル側に知らせるのは当然すべきことです。開かれたまま放置された聖書は客室係の見落としを意味すると同時に、清掃状態の質に疑問を抱く要素にもなります。
【12:真っ暗にして寝ない】 寝る時に点灯した照明を残しておくのは、夜間緊急時の安全確保です。

これら一般的な注意事項が好兄弟を用いた話に仕立てられたことで、一度聞いたら忘れられない禁忌事項として今でも広く伝わっているのだと考えられます。

福祿

あれ、脱いだ靴は何で!?

摩沙

知らない