《台灣和臺灣:繁體字哪個是正確的》
台湾の繁体字表記は「台灣」と「臺灣」の2種類あります。
そこに意味の違いや使い分けがあるのか。2つの仮説をもとに検証します。
検証
仮説1:「台」は「臺」の略字である。
台湾教育部の辞典には「台」と「臺」は異体字であると記されています。
民間の辞典には「台」は「臺」の俗字であると記されています。
しかし、歴史を紐解けばそれぞれは別の字としての成り立ちが存在するのです。
歴史を紐解く
前漢 (紀元前206〜8年)
この時代の記録が書かれた古文書には「台」の字が使用されています。
しかし、「臺」の字は見当たりません。
そのことから「台」の方が「臺」より先に成立したのではないかという説が成立します。
後漢 (25〜220年)
この時代の辞典には「台」は喜び、「臺」は眺めの良い四角の建物という意味が記されています。
唐 (618-907年) ・宋 (960-1297年)
この時代にも「台」と「臺」は別の意味として使われています。
ここまでの流れで「台」と「臺」は別の意味の漢字として使われていることから、「台」は「臺」の略字という説は不自然になります。
つまり、異体字や俗字ではないと考えるのが有力です。
明 (1368-1644年) ・清 (1644-1912年)
ところが、この時代になると「台」は「臺」の代用として小説等に使われ始めます。
日本が台湾を統治した時代 (1895-1945年)
この時代にも「台」と「臺」は同じ意味として混用されていました。
「台」と「臺」はもともと別の意味だったという事がわかったところで、「台」は「臺」の略字ではないという結論に至ります。
もともと別の意味で使われていた漢字が、明代以降に略字として使われるようになりました。なぜこのようなことが起きたのかというと、言語の基本原則は『約定俗成』だからです。
これは言語は世間に広まって認識されて初めて成立するという意味です。また言語は一度完成したら普遍的に存在する性質ではなく、新たに作り出されたり、変化したり、消滅したりします。そんな中で画数が多い文字に対し表記が単純で同音の文字があれば、より簡単な方が選択されていくのは自然なことであると考えられます。
時代が変わると意味も変わる
誤用が誤用でなくなることも
仮説2:「台灣」は革新的、「臺灣」は保守的という政治的意味を持つ。
1982年,中國國民党政権は「臺」を標準字とする事を宣言し、それ以降の公文書を「臺灣」表記で統一するとしました。また2010年、同じく國民党政権時代の教育部が教育の場において、漢字の歴史と形状美の価値保存の為という名目で、未だ教科書等で慣習的に使用され続けている「台」を使用した地名等の表記などを全て「臺」に置き換えると発表し、次の年から変更されました。
しかしながら新聞・テレビなど各種メディアは今日に至っても日常的に「台灣」と表記しているのが圧倒的に多いです。さらに教育部も学生が試験の回答に「台灣」と表記しても減点はないと公言しています。こういう曖昧な現状を見ると、前述の『約定俗成』という言語の基本原則が示すように、慣習的に定着している事象を一斉に変更するのは一筋縄では行かないのがわかります。
実際に「臺」を標準字と定めた当人でもある中國國民党公式サイトには未だに「台灣」という表記が多く使用されています。そして國民党最大の反対政党である民主進歩党公式サイトを見ると「臺灣」という表記が散見されます。
それはつまり「台灣」と「臺灣」はそれぞれ政治的意味を持っていない事を表しています。
総括
・教育の場や公文書では「臺灣」表記が使用されている。
・慣用的には「台湾」表記が圧倒的に多い。
・「台灣」と「臺灣」はどちらも正しい。
どっちでもいいんだね
今日は臺灣な気分
参考文献
『台灣vs.臺灣』, 民報, 2016
『臺灣非台灣? 教部要用正字』, 自由時報, 2010