台湾八景:台湾を象徴する特徴的なスポット

《台灣八景:象徵台灣的特色景點》

時代によって移り変わってきた台湾の八景を紹介します。

台湾八景台湾を象徴する特徴的なスポット

八景とは

八景とは宋の時代から続いている8つの優れた名所や景勝地を選んで評価する風習です。

八という数は中國語の発音が發財や發展など繁栄を意味すると似ている為に縁起が良いとされています。

八景の選ばれ方は二種類あります。
伝統的な方法は景勝地とその情景がセットで選ばれます。もう一つの方法は景勝地だけが選ばれます。
便宜上ここでは前者を古式後者を新式と呼ぶ事にします。

台湾八景

台湾八景は清の時代に台湾の歴史を纏めた地誌『臺灣府志』に記述された物が最古とされています。その後、時代と共に幾度となく変遷されて来ました。
古式は1953年、新式は2005年に発表された物が現時点での最新版となります。

発表年第一景第二景第三景第四景第五景第六景第七景第八景方式発表元
1696安平晚渡沙鯤漁火鹿耳春潮雞籠積雪東溟曉日西嶼落霞斐亭聽濤澄台觀海臺灣府志
1752香洋春耨赤嵌夕照雁門煙雨鹿耳連帆鯤身集網金鷄曉霞鯽潭霽月旗尾秋蒐重修臺灣縣志
1913合歡旭日南岬月明新高倒影珠潭浮嶼關渡歸帆東海石屏旗後落霞北島觀潮臺灣日日新報
1927基隆旭ヶ岡淡水八仙山日月潭阿里山壽山鵝鑾鼻太魯閣峽民衆投票
不詳烏來淡水八仙山日月潭阿里山八卦山台南安平墾丁不詳
1953雙潭秋月玉山積雪安平夕照阿里山雲海大屯春色魯谷幽峽清水斷崖澎湖漁火台湾政府
2005臺北101國立故宮博物院日月潭阿里山玉山高雄愛河墾丁太魯閣峽谷交通部観光局

清時代

1696年版

清の時代に台湾について記述された《臺灣府志》に載っている八景で、当時政府機関が置かれていた地でもある台南の風景が多いのが特徴です。

1:安平晚渡

[Ān píng wǎn dù] (安平港の夕景)
安平 : 旧鳳山縣の県境・現台南市安平區

安平晚渡
©國立台灣文學館
2:沙鯤漁火

[Shā kūn yú huǒ] (台江潟湖の漁火)
沙鯤 : 旧鳳山縣の県境、台江潟湖に存在した7つの砂州 (鯤鯓)・現台南市安平區與南區的海岸地帶

沙鯤漁火
©國立台灣文學館
3:鹿耳春潮

[Lù ěr chūn cháo] (鹿耳門の春の海)
鹿耳 : 旧台南縣、現台南市安南區鹿耳門一帶

鹿耳春潮
©國立台灣文學館
4:雞籠積雪

[Jī lóng jī xuě] (雪の基隆)
雨港という異名を持つ程に雨が多い基隆ですが、亜熱帯気候故に雪には中々なりません。近年では2016年の大寒波で降雪が確認されました。

雞籠積雪
©國立台灣文學館
5:東溟曉日

[Dōng míng xiǎo rì] (東シナ海に昇る朝陽)
東溟 : 東海
宜蘭縣大里から望む東シナ海に昇る朝陽。

東溟曉日
©國立台灣文學館
6:西嶼落霞

[Xī yǔ luò xiá] (霧の漁翁島)
西嶼 : 澎湖縣漁翁島

西嶼落霞
©國立台灣文學館
7:斐亭聽濤

[Fěi tíng tīng tāo] (斐亭で聴く潮騒)
旧台灣府城斐亭、現台南市中西區永福國民小學付近

斐亭聽濤
©國立台灣文學館
8:澄台觀海

[Chéng tái guān hǎi] (燈台から眺める海)
旧台灣府城の燈台、現台南市中西區永福國民小學付近

澄台觀海
©國立台灣文學館

1752年版

1696年版が古くなった為に再編され《重修臺灣縣志》の中に「臺邑八景」として掲載された物です。
前回と同じく台南中心のラインナップですが、鹿耳と沙鯤以外の六景が新たに選び直されています。

1:香洋春耨

[Xiāng yáng chūn nòu] (香洋里の春の耕作)
香洋里は臺灣臺南市關廟區

香洋春耨
画像 / Wikimedia
2:赤嵌夕照

[Chì qiàn xì zhào] (夕陽に染まる赤崁樓)
台南市中西區民族路二段212號
赤崁樓は17世紀に台南を統治していたオランダが農民の反乱を防止する為に築城しました。

赤嵌夕照
画像 / Wikimedia
3:雁門煙雨

[Yàn mén yān yǔ] (霧雨の雁門)
雁門 : 現高雄市內門區內東里

雁門煙雨
画像 / Wikimedia
4:鹿耳連帆

[Lù ěr lián fān] (鹿耳門に連なる帆掛け船)
鹿耳 : 旧台南縣、現台南市安南區鹿耳門一帶

鹿耳連帆
画像 / Wikimedia
5:鯤身集網

[Kūn shēn jí wǎng] (台江潟湖の漁景)
沙鯤 : 旧鳳山縣の県境、台江潟湖に存在した7つの砂州 (鯤鯓)・現台南市安平區與南區的海岸地帶

鯤身集網
画像 / Wikimedia
6:金鷄曉霞

[Jīn jī xiǎo xiá] (澎湖から見る朝陽)

金鷄曉霞
画像 / Wikimedia
7:鯽潭霽月

[Zéi tán jì yuè] (鯽魚潭に浮かぶ月)
鯽魚潭 : 台南にある崑山湖

鯽潭霽月
画像 / Wikimedia
8:旗尾秋蒐

[Qí wěi qiū sōu] (旗尾の秋の狩り)
旗尾 : 高雄市旗山區

旗尾秋蒐
画像 / Wikimedia

日本統治時代

1913年版

統治時代の台湾で発行されていた新聞「臺灣日日新報」の天長節記念紙面で選出された八景です。
台湾全土から選出される様になり、澎湖と高雄以外の六景が新たに選出されています。

1:合歡旭日

[Hé huān xù rì] (合歡山の朝陽)

2:南岬月明

[Nán jiǎ yuè míng] (墾丁の月明かり)

3:新高倒影

[Xīn gāo dào yǐng] (水面に映る新高山)
新高山 : 南投県信義郷にある台湾最高峰、現玉山。

4:珠潭浮嶼

[Zhū tán fú yǔ] (日月潭の小島)
南投縣魚池郷

5:關渡歸帆

[Guān dù guī fān] (關渡に帰る帆船)
台北市北投區

6:東海石屏

[Dōng hǎi shí píng] (花東海岸の岩屏風)

7:旗後落霞

[Qí hòu luò xiá] (霞む旗後)
高雄市旗津區

8:北島觀潮

[Běi dǎo guān cháo] (北島の潮汐)
北島 : 澎湖諸島最北端の目斗嶼

1927年版

臺灣日日新報が企画し読者の投票によって選出されました。東京と大阪の新聞社が掲載した日本新八景の台湾版で、情景が含まれない景勝地だけの選出となっています。
日月潭が前回に続き連続で選出された他、海の玄関口として日本人に馴染み深い基隆も選ばれています。

1:基隆旭岡

[Jī lóng xù gāng]
現基隆中正區

2:淡水

[Dàn shuǐ]
新北市淡水區

3:八仙山

[Bā xiān shān]
台中市和平區

4:日月潭

[Rì yuè tán]
南投縣魚池郷

5:阿里山

[Ā lǐ shān]
嘉義縣阿里山鄉

6:壽山

[Shòu shān]
高雄市鼓山區

7:鵝鑾鼻

[É luán bí]
屏東縣恆春鎮

8:太魯閣峽

[Tài lǔ gé xiá]
花蓮縣秀林鄉

中華民國時代

1953年版

日本の統治が終わり国民党政府が再選出した八景です。
安平、澎湖など清代八景の復刻と玉山、日月潭、阿里山、太魯閣が不動の地位を確立しています。

1:雙潭秋月

[Shuāng tán qiū yuè] (日月潭の秋月)
南投縣魚池郷

2:玉山積雪

[Yù shān jī xuě] (玉山の積雪)
南投県信義郷

3:安平夕照

[Ān píng xì zhào] (安平の夕景)
安平 : 旧鳳山縣の県境・現台南市安平區

4:阿里山雲海

[Ā lǐ shān yún hǎi] (阿里山の雲海)

5:大屯春色

[Dà tún chūn sè] (春の陽明山)

6:魯谷幽峽

[Lǔ gǔ yōu xiá] (太魯閣峡谷)
花蓮縣秀林鄉

7:清水斷崖

[Qīng shuǐ duàn yá] (清水の断崖)
清水 : 花蓮縣秀林鄉

8:澎湖漁火

[Pēng hú yú huǒ] (澎湖の漁火)

2005年版

交通部観光局が時代に合わせて再選出した八景です。
観光局の監修らしく代表的な観光名所が織り込まれています。

1:臺北101

[Tái běi yī líng yī] (台北101)
台北市信義區信義路五段7號

2:國立故宮博物院

[Guó lì gù gōng bó wù yuàn] (国立故宮博物院)
台北市士林區至善路二段221號

3:日月潭

[Rì yuè tán]
南投縣魚池郷

4:阿里山

[Ā lǐ shān]
嘉義縣阿里山鄉

5:玉山

[Yù shān]
南投県信義郷

6:高雄愛河

[Gāo xióng ài hé]
高雄市に流れる河川

7:墾丁

[Kěn dīng]
屏東縣恆春鎮

8:太魯閣峽谷

[Tài lǔ gé xiá gǔ]
花蓮縣秀林鄉